Office付のメーカー製PCを購入した際に、プロダクトキーが同梱されないPCが増えてきました。これはOfficeのライセンス認証方式がデジタルライセンス方式に変更されたためです。
以前はPCを購入すると、はがきサイズ大または名刺サイズ大のプロダクトキーが同梱されており、そのキーを入力することで初めてOfficeが使用できるようになっていました。しかし、2023年中盤頃から出荷されているメーカー製PCにはデジタルアタッチ版のOfficeが搭載されるようになったため、インターネットに接続した状態でOfficeアプリを開き、Microsoftアカウントにログインすることで自動的にライセンス認証が行われるようになりました。
認証作業が不要になったことで一見便利になったようにも思えますが、Microsoftアカウントでの管理が必要となるため、PCを譲渡する際やオフライン環境でOfficeを使用する際に問題が生じる可能性があります。
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Office デジタルアタッチ版とは?
Officeの認証方式が、従来の紙ベースのプロダクトキー認証方式から、PC本体の製品情報を元にネットワーク経由でデジタル認証を行う方式に変更されました。イメージとしては、PCのマザーボードにOfficeのプロダクトキーが格納されていて、認証時にその情報と照合し、可否判定が下されるといった感じです。
この方式はすでに古くからWindows OSでも採用されています。Windows 7時代のメーカー製PCではすでにこの方式が採用されていたと記憶しています。Windows OSの場合、中古やジャンクで購入したPCにWindowsをインストールすると、自動でライセンス認証が通ることがありましたが、これはマザーボードに記憶されている情報を元にインターネット経由でWindowsのライセンスが再認証されたためです。しかし、Officeの場合はライセンスがMicrosoftアカウントに紐付けられるので、アカウントの所有者以外はOfficeの再認証ができなくなります。
各メーカーのOffice デジタルアタッチ版対応状況
どのメーカーも2023年中盤以降に出荷されたPCにはデジタルアタッチ版のOfficeが搭載されるようになったようです。今はまだプロダクトキー版とデジタルアタッチ版が混在しているような状態だと思われますので、PCを購入する際にどちらのOfficeが搭載されているかを確認しておくと良いでしょう。
今後想定される問題
オフラインユーザーも定期的なネット接続が必須に
Officeデジタルアタッチ版は定期的なオンライン認証が発生するため、インターネット接続が必要になります。定期的なオンライン認証の周期は不明ですが、Microsoft365(サブスク版)の場合だと月に一度は認証判定が裏で自動で行われているようです。デジタルアタッチ版では流石に月一で認証判定が行われることはないと思いますが、上記のVaioのページには「年に1回以上は Microsoft アカウントでサインインするように」また、Panasonicのページには「2年に1回以上Microsoftアカウントでサインインするように」と記載されています。これはおそらくMicrosoftアカウントが放置されたことによりアカウントが凍結・削除されることを防止するための措置だと思われます。
オフラインユーザーは最低でも一年に一度はインターネットに接続してMicrosoftアカウントでOfficeアプリにサインインする必要があるようです。
一度アクティベートしたら譲渡不可に
Office 2016以降の製品はプロダクトキーとMicrosoftアカウントの紐付けが必須となったことでライセンスを譲渡することが実質的に不可能になりましたが、2021年10月にMicrosoftの譲渡サービスが停止されたことで、Officeライセンスの譲渡は完全にできなくなりました。
つまり、中古でPCを手放す際にはOfficeがインストールされていても、OfficeなしのPCとして査定されるようになりました。PCを手放した後でも、Microsoftアカウントには使い道のないOfficeのライセンス情報が亡霊のように残り続けるような仕様になっています。
OfficeをアクティベートせずにPCを初期化した場合、使用不可になる
新しくPCを購入して、一度もOfficeを開かずに(ライセンス認証をせずに)Windowsの初期化を行った場合、Officeのライセンス情報が消えてしまうようです。Office付きのPCを通常よりも高い金額で購入したにも関わらず、使い方を間違えればOfficeが使えなくなるという状態を招くおそれがあります。
まとめ
プロダクトキーが同梱されていないOffice付のPCは定期的なオンライン認証が発生するため、オフラインユーザーは最低でも一年に一度はインターネットに接続し、認証状態を維持するように心掛けましょう。