マイクロソフトはWindows 7、及びWindows 8(8.1)のプロダクトキーを使ったWindows 10、11へのアクティベートを遮断しました。これまではWindows 10を新規インストールする際に、Windows 7、8(8.1)のプロダクトキーでもライセンス認証がとれていましたが、今後はそれが出来なくなります。
そこで気になるのが、過去にWindows 7からWindows 10にアップグレードしたことのある古いPCの部品交換を行った場合でも、今まで通り問題なくライセンス認証が通るのか?ということです。実際に検証してみたので、結果を掲載します。
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目次
前提条件
過去にWindows 7からWindows 10にアップグレードしたライセンス認証済の古いPC3台で検証を行います。ドナーPCの詳細は以下の通りです。
No. | メーカー | CPU | メモリ | ストレージ | アカウント | 元OS | 現OS | 認証状態 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
① | NEC デスクトップPC | intel Core i5 3470 | 4GB | HDD | ローカルアカウント | Windows 7 | Windows 10 | デジタルライセンス認証済 |
② | Lenovo デスクトップPC | intel Core i5 2320 | 4GB | HDD | ローカルアカウント | Windows 7 | Windows 10 | デジタルライセンス認証済 |
③ | Lenovo デスクトップPC | intel Core i3 2120 | 4GB | HDD | ローカルアカウント | Windows 7 | Windows 10 | デジタルライセンス認証済 |
予想
過去に一度でもWindows 7からWindows 10にアップグレードし、認証を完了させたPCならば、部品交換を行っても影響はないと予想します。
検証1:HDDを入れ替えて、新規インストールしてみる
①のNECのデスクトップPCを使って検証しました。搭載されているHDDを取り外し、空のHDDに入れ替えて、USBメモリからWindows 10 Home(22H2)を新規インストールしてみました。
結果:HDD/SSDを入れ替えてもライセンス認証は通りました。HDD/SSDが故障した場合でも、ストレージを入れ替えてWindows 10を再インストールすれば再び使用できるようになることが分かりました。これは今までと変化はありません。
2023年10月20日追記:
Windows 10インストール時、プロダクトキーを入力する画面でWindows 7のプロダクトキーを入力し直すと認証が外れる可能性があります。「プロダクトキーがありません」を選ぶと上手くいくと思います。
2023年10月30日追記:日本ではプロダクトキーの遮断が10月4日以降に実施されたという情報を見かけましたので、念の為、再検証しました。
検証2:Windows 10からWindows 11に無理やりアップグレードしてみる
引き続き①のPCで、今度はWindows 10からWindows 11にUSBメモリを使って強制的にアップグレードしてみました。
結果:Windows 11にアップグレードしてもライセンス認証は問題なく通りました。元がWindows 7のプロダクトキーでも、過去にWindows 10にアップグレードしたことのあるPCならば、Windows 11に強制的にアップグレードしてもライセンス認証は通るようです。ただし、他の問題が発生する可能性があるので、システム要件を満たしていないPCのアップグレードは非推奨です。
検証3:CPUを入れ替えてみる
②、③のLenovoのデスクトップPCを使って検証しました。②、③のCPUを取り外し、それぞれお互い入れ替えてみました。
結果:CPUを交換した場合でもライセンス認証は問題なく通りました。ローカルアカウントでも特にライセンス認証で躓くこともありませんでした。ちなみに、同世代のグレード違いのCPU(Core i5 2320とCore i3 2120)に交換したので上手く行きましたが、同ソケットLGA1155対応のCPU Core i5 3470 に交換したところ、BIOSが対応していなかったため起動しませんでした。(これはライセンス認証とは別の問題です)
検証4:メモリを交換してみる
②、③のLenovoのデスクトップPCのメモリをお互いに交換してみました。ちなみにメモリの規格はDDR3 2GB×2枚です。
結果:メモリを交換しても、もちろんライセンス認証は通りました。
結果
過去に一度でもWindows 10で認証が取れているPCであれば、ストレージ(HDD/SSD)、CPU、メモリを交換した程度ではライセンス認証が外れることはありませんでした。これは今までと変化はありません。ストレージ(HDD/SSD)、CPU、メモリといった主要部品の交換であればローカルアカウント、マイクロソフトアカウントを問わず、今後も問題なくライセンス認証ができるようです。
2023年10月18日追記:
ハードウェアの構成を大幅に変更した場合、再認証できなくなるおそれがあります。マザーボードを交換した自作PCで、ライセンス認証が通らなくなる事象を確認しました。マザーボードの交換やBIOSアップデートを行うと、ライセンスの再認証に失敗するおそれがあります。
今後ライセンス認証関係で問題が出てくると思われるタイミングは、以下のような場合です。
1.現在Windows 7、または8(8.1)を使用していて、これからWindows 10にアップグレードする時
➡ (対処法)今後もWindows 7、8(8.1)のままネットに繋がずに使用するか、Linux OSに入れ替えましょう。
2.中古のWindows 7、または8(8.1)のPCをオークションやジャンクショップで入手し、Windows 10をインストールする時
➡ (対処法)Windows 10のライセンス認証ができないだけで、引き続きWindows 7、または8(8.1)でのライセンス認証は可能なので、電話で認証作業を完了させましょう。
3.ローカルアカウントのままPCの構成を大幅に変更して、再認証が必要になった時 ➡ 2023年10月18日追記:
ローカルアカウント/マイクロソフトアカウントを問わず、ハードウェアの大幅な構成変更(マザーボード交換やBIOSアップデート)を行うと、ライセンスの再認証に失敗するおそれがあります。
2023年10月24日追記:
現時点でライセンス認証が有効である場合でも、稀に「30日後」に認証が外れることがあります。メーカー製のPCでは滅多に起こりませんが、BTO、または自作PCの場合、30日後に再認証が必要になることがあります。
ライセンス認証が外れた場合、現在のところ「プロダクトキーの再購入」か「PCの買い替え」しか解決策がないようです。
マイクロソフトは、Windows 7の時代までライセンス認証に関して非常に厳格な管理体制を取ってきました。しかし、時代の変化と共に競合OS(AndroidやiOS)のシェアが増加したことから、Windows 10では比較的寛容なアプローチに切り替えてきました。今回ついにその「ボーナスタイム」が終了したと言っても良いのではないでしょうか。マイクロソフトは最近「過去との断絶」「グレートリセット」とでも言うべきか、明らかに古いPCを排除する方向に舵を切っているように思います。
2023年10月26日追記:検証結果のまとめと追加情報を別ページにまとめました。